セーリング(帆走)の醍醐味は、セールを巧みに操ることで、風の力だけで好きなところへ行ける、ということに尽きるでしょう。風と波の音に包まれた洋上のひとときは、普段の陸上での生活とはまったく異なる体験となるはず。水面近くから見る陸の景色も、新鮮さにあふれています。
また、セーリングとはやや異なりますが、停泊中のキャビンで過ごす時間を楽しむ、あるいは、メンテナンスなどを楽しむといった、「セールボートがある生活」に魅力を見出しているセーラーも数多くいます。

クルージング

ヨットでの航海そのものを楽しむのが「クルージング」です。数時間のショートクルーズ、日帰りのデイクルーズ、夜をまたいで航海するオーバーナイトクルーズ、数日から数カ月におよぶロングクルーズなど、その期間や距離、スタイルはさまざま。さらには、日本一周をしたり、海外まで足を延ばして複数の国々を巡ったりすることも可能です。
刻々と変化する風や波に合わせながらフネを操り、移り変わる風景を見つつ海を走る楽しみは、セーリングならではのもの。また、寄港先で名所を巡ったり、地元のうまいものに舌鼓を打ったりするのも、クルージングの醍醐味です。

アンカリング

フネには、クルマと違ってブレーキがないため、水面上でフネを停めておくためにはアンカー(錨)を使います。波静かな入り江にフネを進め、アンカーを打って停泊するアンカリングも、セールボートの楽しみ方の一つです。船上ランチをしたり、シュノーケリングをしたりという体験は、非日常を味わえる貴重な体験となるはずです。

レース

セーリングはスポーツ競技でもあり、複数のセールボート同士で速さを競う「ヨットレース」が盛んに行われています。岸に近い海面にブイを打ってコースを設定するブイ回りのインショアレース、島などを通過点に設定して外洋で行うオフショアレース、沖縄-東京、あるいは大洋横断などの長距離を走るロングディスタンスレースなど、こちらもさまざまなスタイルがあります。ディンギーのレースはブイ回りが基本で、湖で行われることも少なくありません。

レースというと、ビギナーには近づきがたいような印象もありますが、野球でいえば草野球にあたるようなクラブレースやオープンレース、さらには、レースをメインにしながらもセーラー同士の交流や関連イベントを楽しむ「お祭りレース」と呼ばれるものなど、気軽に参加できるレースも、クルーザー、ディンギー問わず広く行われています。
一方、プロやトップレベルの選手が参加するレースも多数開催されています。クルーザーレースでは、150年以上の歴史があるアメリカズカップを頂点としたブイ回りのレースが各種開催されているほか、世界一周などの超長距離レースもあります。ディンギーレースでは、オリンピックのセーリング競技が最高峰として位置づけられており、国内大会では国体(国民体育大会)のセーリング競技が挙げられます。そのほか艇種ごとの世界選手権、全日本選手権なども開催されています。
近年のヨットレースは、IT技術を活用した中継などもされており、「見て楽しむスポーツ」としての側面もあります。

キャビンライフ/マリーナステイ

クルーザーの場合は、マリーナなどにフネを停めたままキャビンで過ごすひとときも楽しいもの。ギャレー(台所)が備わっていれば、フネで料理を作ることも可能です。クルマで例えるなら、キャンピングカー的な楽しみ方といえるでしょうか。キャビンを別荘代わりにして読書などを楽しんだり、家族や仲間と一緒にパーティーや宴会をしたりというのも、クルーザーライフの大きな魅力の一つです。

DIY

自分のフネを手に入れたあとには、そのフネを使いやすくするために改良したり、良好な状態を保つためのメンテナンスをしたりといったことが必要です。本格的な修理などはプロに依頼する必要がありますが、自分でできる作業も多く、そうした作業を自らこなすDIYが大好き、という方もいます。さらに、小型の船であれば自作することも可能なので、こうしたDIYもセールボートの楽しみ方の一つといえます。